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ITエンジニア人材不足の現状

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日本では2030年に最大79万人のIT人材が不足

 経済産業省が発表したデータによると、2030年に最大79万人のIT人材が不足するとしています。これは2016年にみずほ情報総研株式会社が行った調査分析資料に基づいたものですが、まず最初に2015年時点のIT人材の供給人数を推計し、その時点での人材の過不足感を「深刻な水準で不足している」、「大幅に不足している」、「やや不足している」、「それほどの不足は無い」、「やや過剰である」の5段階で回答するアンケート調査を行い(2,350件の回答)それぞれの不足人数を換算率50%、30%、10%、0%、△10%で割り出したものです。

 その結果2015年時点でのIT人材の不足を170,700人であるとしています。そこから、人口動態調査の結果から、入職率、離職率、定年退職等を考慮して、2030年までのIT人材供給人数を推計し、一方で2030年までの売上・予算の伸び率の予想から市場規模の伸びを推計し、2015年との比較で、IT人材の需要人数を求めています。その結果高位シナリオでは約79万人のIT人材が不足するとしています。

 ここで、2030年までの売上・予算の伸び率のアンケート結果を見てみると、例えばITベンダーでは2015年から2020年の伸びが3.9%と最も高く、2025年から2030年は2.5%と最も低くなっています。つまりIT市場の伸び率は徐々に小さくなっていくと予想されているのです。

 この調査が行われた時点ではchatGPTもまだリリースされておらず、その後のIT市場の伸びは当時の予測をはるかに上回って拡大していると思われます。従ってIT人材の不足感も当時よりさらに高まっているのではないかと予想しています。

外国籍IT人材の活用

 上記みずほ情報総研株式会社の調査では、IT人材不足に対する対応策として、外国籍IT人材の活用の可能性についても触れているが、各種アンケート調査の結果から、女性やシニアIT人材の活用に比べると優先順位が低いと結論付けています。その理由としては「マネジメントが難しい」「周囲の理解やサポートが不足している」「活躍の前提となる制度や環境が十分に整っていない」ことなどが挙げられており、日本語での意思疎通の難しさや、外国人材を受け入れる側の課題も多いように思います。

 それでは実際に外国籍のIT人材が日本にどれくらいいるのかを見てみましょう。厚生労働省は毎年ハローワークを通じた外国人の雇用状況の届け出状況を取りまとめており、その公表資料から情報通信業に在籍する外国人社員の国別推移をまとめてみました。

 コロナ禍の影響で2021年は若干減少しているものの、毎年着実に増えています。国別の状況を見てみると中国とベトナムが確実に増えているのがわかります。また、最近ではインドネシアやミャンマーが少しづつ増えてきているようです。しかしながら、毎年5,000人ずつ増えたとしても、79万人の不足を補うには、全然足りないことがわかります。

インドのIT人材供給力に期待

 上記情報通信業に在籍する外国人社員数の国別人数を見てみても、中国が毎年約3,000人づつ増加、ベトナムは毎年約500人ずつ増加しているものの、最近は伸びが鈍っています。また、インドネシアやミャンマーもまだ1,000人弱に過ぎません。

 そこで、当社が注目しているのが、インド人のITエンジニアです。ヒューマンリソシアの2020年のレポートによると、情報通信技術分野の卒業者数の国別比較では、インドが55万人でトップ。日本は3.4万人で9位となっています。まさにインドはIT大国であり、さらに英語を公用語としており、他の国と比べると、圧倒的に英語での意思疎通がとりやすいというメリットがあります。

 また、2016年の経済産業省の「IT人材に関する各国比較調査」によると、各国のIT関連企業で働く各国500名に行ったアンケート調査では、海外での勤務意向はインドがトップでした。

 

但し、海外勤務先として関心がある国を聞いたところ、79.7%の人がアメリカを挙げており、日本を挙げたのはわずか18.9%でした。

海外勤務に関心のある理由としては、やはり給与面とスキルアップを挙げた人が圧倒的に多く、日本でも今後IT人材不足に向き合っていくためには、外国人材の受け入れ体制を整備して、英語で働ける環境をと問えていくことが重要になってくるものと思われます。

2020年のJETROの調査では全ての日本企業がインド高度人材の活躍に満足しており、インド高度人材の離職率も企業の過半数が日本人社員と変わらないもしくは低いと回答しています。さらに、大半の企業が今後もインド高度人材の採用枠を維持または拡大する方針であることを明らかにしています。すでに、大企業ではITエンジニアの社内公用語が英語になっているところも少なくなく、そういった受けいれ体制が徐々に整っていくに従って、日本で働くインド人IT技術者は今後益々増えていく見込みです。

日本企業で採用されるインド人IT技術者は今後益々増える見込み