外国人介護人材定着のための方策

1.外国人介護人材の定着促進のための取り組み
前回取り上げた公益社団法人 全国老人福祉施設協議会の令和6年度外国人介護人材定着度調査報告書の中で、192施設が実施している外国人介護人材の定着促進の取り組みを挙げています。今日はこの中から、1.受け入れ準備の問題、2.環境整備の問題、3.キャリアパスの問題、の3つの側面から考察してみたいと思います。
受け入れ準備の問題

地方と都心部では当然賃金格差の問題が生じてしまいますが、地方は地方で住宅コストが安く抑えられるというメリットがあります。しかしながら、地方でも外国人への賃借はNGという物件も多いため施設が法人として借り上げて、3~4人のシェアハウスのような社宅を準備する必要があるかもしれません。
その際、寝具を始め、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品が準備されていると、外国人も安心して日本での生活をスタートすることができ、将来の定着に向けていい関係が築けることが想像できます。
また、食器やタオルなどのこまごまとしたものは、日本人職員から寄付してもらったりと、できるだけ外国人の費用負担を押さえられるような工夫も必要になってきます。

また、多くの外国人は来日時に数万円しか所持しておらず、最初の給料日までの生活費がままならないケースも多いため、予め給料の前借の制度も準備しておいた方がいいかもしれません。

自宅でのWi-Fi環境は必須です。外国人の携帯電話のプランは通信料をできるだけ抑えて、費用負担を少なくしているのが通常です。その分家族や友達との連絡は、自宅のWi-Fiを使って、低コストで頻繁に行っています。ところが、外国人にとっては自宅へWi-Fiの回線をひく契約のハードルは高く、場合によっては、施設側が法人契約をして、人数で割った費用をそれぞれの入居者に請求する必要が出てくるかもしれません。3~4人でシェアーすればWi-Fiの費用も安く抑えられ、家族とも頻繁に連絡を取り合うことができるため、Wi-Fi環境を整えることは非常に大切な要素であると認識する必要があります。

環境整備の問題

外国人にとっては、自炊で生活費をセーブするのは当然の事といえます。従って近くに食品スーパーがなく、買い物はコンビニで、という環境では定着はままなりません。少なくとも週に一回は食品スーパーで買い物ができる環境を準備する必要があります。

運転免許証を持たない外国人にとっての移動手段は公共交通機関か自転車に限られます。施設までの通勤手段を確保するのは当然のことながら、積雪地帯では冬の降雪時に自転車が使えなくなることを考えておかなければなりません。

外国人一人だけというのも非常に孤独なので、できれば同国人を2~3人同時に雇用するのが望ましいと思います。また、社内に業務上、生活上の相談窓口の日本人を一人は配置することになると思いますが、日本人職員も忙しく、なかなか目が行き届かないケースも散見されます。同国人の先輩後輩のネットワークができてくれば、業務上、生活上の相談は徐々に減ってきますが、それでも周りの日本人スタッフが積極的に声を掛けて外国人を孤立させない配慮が必要になってくるでしょう。
登録支援機関とも相談しながら、社内環境の整備、日本人スタッフへの啓蒙も必要になってくるかもしれません。

キャリアパスの問題

外国人介護人材の半数以上は、日本で介護福祉士の試験に合格したいと思っています。そのため、日本語のブラッシュアップや試験対策講座の受講などのサポート体制がある施設は歓迎されます。
実際、彼らからは、「社会福祉士受験のためのサポート体制はありますか?」という質問はかなり多く寄せられます。
毎年の昇給や職位はもちろんのことですが、試験合格後の業務や待遇の変化、家族を呼び寄せた場合や結婚した後の待遇の変化など、より具体的な形で提示することができれば、彼らのモチベーションアップ、ひいては定着率のアップにつながります。
さらに将来を見据えた場合、施設での待遇や業務だけではなく、家族の老後、自分の子供の教育や子育ての問題、日本の社会制度の問題、さらなるキャリアアップの道筋など、より広い意味での条件や待遇が提示できると、より一層地域社会の一員としての自覚が芽生え、定着が進んでいくものと思われます。
同じ報告書の中で、日本国内で転職活動をしている外国人を採用したことのある70施設が、その職員がどの地域から転職してきたか?という質問に答えています。
2.外国人介護人材の転職状況
地方から都心へという流れがあることは否めませんが、よく見ると、同じ県内からの異動者が多いことに気づきます。外国人にとっても、住み慣れた地域から知らない遠くの県へ異動することには抵抗感があるのかもしれません。会社と登録支援機関、行政、地域社会が一体となって、外国人を地域に根付かせて、地域社会で孤立しないように、お互いがお互いのことを知る努力が必要になってくるのではないでしょうか。

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